メロディアス・ハード・ロックにハマったきっかけ
ひと口にハード・ロックといっても、その中には細分化された様々なスタイルが存在しています。
アメリカンだったり、北欧だったり、ブルージーだったり、サザンだったり、プログレだったり。出身地や音の特徴などにより、実に様々です。
その中のひとつに、メロディアス・ハード・ロックというジャンルがあります。
私が、ハード・ロックの中でも、特に好きなスタイルであります。
90年台中盤から後半にかけて、Bon Joviを筆頭にAerosmithやMr. Big、Van Halenなどのベスト盤から入門して洋楽ハード・ロックを聴き始めたんですけど、その過程で自分が好きな音楽の傾向に気がつくことができました。
どうやら自分は、歌メロがキャッチーでギター・プレイが華やかな、ポップなハード・ロックが好きらしい。さらにあとになってわかるのですが、これらの要素が網羅された音楽が、まさにそのメロディアス・ハード・ロックだった、というわけです。
で、CD屋さんに入り浸っては、HR/HMコーナーでCDをためつすがめつし、果たしてこのアルバムは当たりなのか、軽く博打でもするかのように、次々とCDを購入するようになります。
その中の一枚に、ドイツ出身のメロディアス・ハード・ロック・バンド、Fair Warningの初期ベスト『Early Warnings』がありました。
今であれば、レーベル移籍のゴタゴタでレコード会社の都合で勝手に出されたベスト盤なんだろうな、と想像がつくんですけど、まだウブな学生だったその当時はそんなこと知る由もないので、たった二枚しかアルバム出していないのにベスト盤が出るなんて、よっぽどすごいバンドなんだろうな、素直にそう感心して購入しました。
ただ、最初からいきなり気に入ったというわけではありませんでした。私にはちょっとヘヴィすぎる、そう感じてしまったんですね。バラードはむちゃくちゃ素晴らしいな、と感動したんですが。
それからしばらく経って、いつものようにCD屋さんで物色していて、Fair Warningの3rdアルバム『Go!』を見つけました。
ベスト盤を聴いてもバラード曲以外はピンときていなかったのに、何故かこのアルバムを買ったんですよね。普通であればスルー対象だと思うんですけど。当時の自分の思惑を想像するに、いいバラードが入っていれば儲けもの、くらいの気持ちで購入したのかな、と。
で、いざ聴いてみたら、これが実に素晴らしいアルバムで、ぶっ飛びました。 バラードはどの曲も素敵だし、勇壮なロック・ナンバーやアコースティックな味付けの爽やかな曲は、どれもキャッチーで素晴らしい。
こいつはとんでもねぇ名盤だぞ。感激して何回も何回も繰り返し聴きました。
グッジョブですね。このアルバムをスルーせずに買った自分にグッジョブ。
で、前に買った『Early Warnings』を聴き返してみたら、以前にはヘヴィすぎると感じた曲から、そんな印象がさっぱりと消えていたんですよ。
素晴らしいバラードとキャッチーなメロディアス・ハードが満載の好ベスト。そんなふうにひっくり返りまして。で、彼らのオリジナル・アルバムを二枚とも買い求めて、Fair Warningのハード・ロックにさらにのめり込んでいきました。
Fair Warningにハマったことで、私のCDの買い求め方に、変化が生じることになります。
ジャケット・デザインの印象や帯の叩きを見た印象から博打的に買っていたのが、専門誌に載っている新譜情報をチェックしたり、その専門誌の嗜好が近いと思われる編集者のおすすめを聴いてみたり、専門性の高いレーベルから発売されているCDを買うようになったり、ライナー・ノーツの執筆者からこのアルバムは当たりではないかと予想してみたり。
ハズレを引きにくい買い方をするようになっていきました。
その結果、イギリスのTenやカナダのHarem Scarem、オランダのTerra Nova、スウェーデンのBad Habitなどを知って、アメリカだけにとどまらず、世界中のメロディアス・ハード・ロックの音を探求していくようになります。
社会人になって、クルマを買い、インターネット環境を導入すると、予算と行動範囲と情報量がそれまでとは桁違いになり、この傾向がますます加速します。
名古屋の有名専門店まで毎月のように通ったり、海外の通販サイトから一度に何十枚と海外盤を個人輸入するようになったり。
もはや自分ではどうにも歯止めが効かなくなりました。
このようにして、私はメロディアス・ハード・ロックに傾倒していったのでした。
