B'zのオリジナル・アルバム全20枚を、ひと口レビュー
1988年9月21日に、アルバム『B'z』とシングル『だからその手を離して』の同時リリースでデビューした、日本を代表するロック・バンド、B'z。
30周年記念日まで、いよいよあとわずか。
今までの30年間の活動で、のべ20枚のオリジナル・アルバムを発表してきたのですが、各アルバムに対して私が抱いている印象を、思い出とともに簡単に語っていきます。
『B'z』(1988)★★★
記念すべきデビュー作。
私の記憶が確かならば、唯一外部ライターと共作された楽曲が収録されているアルバム。注意深く聴かないと、ギターの音に気づかないくらいギターが控えめ。
サウンドには時代を感じるが、早くも作曲センスの素晴らしさを発揮し始めている。良質なポップ・ヴォーカル作品。
ご本人たちには封印したい黒歴史かもしれないが、私は好き。デジタル・リマスター希望。
『OFF THE LOCK』(1989)★★★☆
何もかもが手探りだったデビュー作の制作を経て、手応えを感じ始めているのが聴き取れるアルバム。
楽曲に個性が出て、らしさが感じられるようになってきた。
『BREAK THROUGH』(1990)★★★
いよいよブレイクの兆しが感じられるアルバム。
歌詞に独特の世界観が形成されつつある。乗ってきた勢いが音に現れていて、聴いていて面白いし楽しい。
『RISKY』(1990)★★★★
ついにふたりの才能が融合し炸裂した、初期の集大成的なアルバム。
初めて聴いたときは中学生だったので、歌詞カードを読んでいると都会のお兄様方の大人な世界をのぞき見ているようで、想像を膨らませてはドキドキしていた。刺激的。
ギターもこれまで以上に前面に出てきて、ロック色が強まってきた。
『IN THE LIFE』(1991)★★★★
黄金期の到来を高らかに告げる傑作。
シングル『LADY NAVIGATION』からリアル・タイムで追いかけ始めて、初めてレンタル屋で借りたアルバム。
ポップな曲からおしゃれでムーディな曲、ハードな曲に切ないバラードと、バラエティ豊かな楽曲が詰め込まれていて、親しみやすく聴きやすい。
『RUN』(1992)★★★★
ついに自身のルーツであるハード・ロックへのアプローチを始めたアルバム。
初めて買ったB'zのアルバム。
楽曲は親しみやすさを失わずに骨太で重厚になり、それに負けじと歌声も表現力と存在感を増している。サウンドが生々しくなり、いよいよロック・バンドっぽくなってきた。
『The 7th Blues』(1994)★★★★
大ブレイクを果たして発言力が増したのか、自分たちがやりたい要素をこれでもかとぶち込んで好き放題やったのに、出来上がった音楽はどこからどう聴いてもB'zだった、という作品。
ふたりのゆるぎない個性が確立された。
ただ、2枚組全20曲は多すぎ。収録曲を厳選して一枚にまとめていたら、文句なしの名盤になっていたはず。
『LOOSE』(1995)★★★★☆
B'zの絶頂期を象徴するアルバム。
聴きやすく、それでいてインパクト抜群で、聴き応えもある。
アルバムとしての統一感があまりなくて、適当にごちゃ混ぜにしている感が強いが、それでも一気に聴かせる勢いがすごい。傑作。
『SURVIVE』(1997)★★★★☆
『LOOSE』と双璧を成す、B'z絶頂期を彩る傑作。
初期を想起させるポップ・サウンドが散りばめられていて心地よい。ロック、ポップ、バラード、どれをとってもいい曲ばっかり。
『Brotherhood』(1999)★★☆
初のベスト・アルバムでひと区切りとしたのか、今まで以上にハード・ロック色を打ち出したアルバム。
何曲か大好きな曲はあったが、とっつきにくく感じてしまい、違和感を覚え始めた。
『ELEVEN』(2000)★★☆
前作よりさらにハード・ロックを追求しているアルバム。
重厚なアルバム曲と、しっとりしたシングル曲の落差が、凄まじい。このアルバムも、前作同様何曲か大好きな曲はあったが、心が離れていくのをどうすることもできなかった。
このアルバムを最後に、B'zをリアルタイムで追いかけることからいったん離脱。
『GREEN』(2002)★★★☆
前二作の反動からか、ポップでエバー・グリーンな楽曲が満載のアルバム。初夏の高原で芝生に寝転びながら聴きたい。
もし発売当時に買ってちゃんと聴いていたら、リアル・タイムで追いかけることを継続していたかもしれない。
『BIG MACHINE』(2003)★★★★
ポップで親しみやすい上にエネルギッシュな、B'zならではのハード・ロックが堪能できる一枚。好き。
リアル・タイムで聴いていたら、きっと、これだよこれ!と膝を叩いていたはず。
『THE CIRCLE』(2005)★★☆
印象に残る曲とそうでない曲の差が激しいアルバム。
再生率が一番低いアルバムかも知れない。リアル・タイムで聴いていないとやはり厳しい。思い出補正も働かない。
『MONSTER』(2006)★★★
珍しくシングルの2nd beatから一曲収録されているアルバム。
収録曲が多くバリエーションも豊かだが、散漫で冗長な印象。強力な曲もあるが刺さらない曲もある。
『ACTION』(2008)★★★★☆
20周年に発表されたアルバム。
この時期、創作活動に行き詰まりを感じていたらしいが、それはおそらく前二作のことを指しているのだろう。
全17曲と圧巻のヴォリュームにもかかわらず、ダレずに一気に聴ける。爽快なロックナンバーと美しいバラードが堪能できる快作。
『MAGIC』(2009)★★★★☆
20周年ベスト『ULTRA Pleasure』と『ULTRA Treasure』を聴いていたらふつふつとB'z熱が再燃し、このアルバムからリアル・タイムで追いかけることを再開した。
シングル曲はどれも強力だし、アルバム曲もそれに負けない存在感を放っている。バラードがちょっと弱いのが玉に瑕。
『C'mon』(2011)★★★☆
シングル曲もいいし、爽やかでフレッシュな表題曲もいい。
その他の曲も粒が揃っているのに、アルバム全体で見ると不思議と印象が薄い。
あんまりいい印象はないのに、通して聴くと、なぜかいいアルバムだなぁ、と染みる。摩訶不思議なアルバム。
『EPIC DAY』(2015)★★★★
前作から四年もの空白期間があったのに、ここ最近では珍しく、全10曲とコンパクトに凝縮して作り込んできたアルバム。
アッパーなチューンはB'z節炸裂で爽快だが、バラードが小粒で弱い感じがするのが気になる。
『DINOSAUR』(2017)★★★★☆
2018年現在の最新アルバム。
20周年以降、良質な作品を発表し続けてきたが、その中でも出色の出来。
特に前半。前半の充実度だけならば、歴代最高クラス。後半やや失速するのがもったいない。
バラード曲の雰囲気が、前作に収録されていた曲に似通っているのが引っかかる。
以上、B'zのオリジナル・アルバム全20枚、ひと口レビューでした。
魅惑的なヴォーカルと、妖艶に泣くギター、絶対的な存在感を誇るこの二大要素の上に、B'zの音楽は成り立っています。この二大要素のおかげで、どんな音楽をやってもB'zはB'zであるという、独特の世界観を構築しています。
キャリアが長いので、時にポップであったりロックであったりジャジーであったりハード・ロックであったりと、幅広い作風の作品をリリースしているのですが、それ故に人それぞれの好みに評価が割れることも多いです。
ひと口にB'zが好きといっても、人それぞれ好きな曲やアルバムがぜんぜん違う、話が合うかと思ったらあまり噛み合わなかった、いずれもよくあることです。
B'zの場合、アルバムに収録されていないシングル曲もたくさんあるんですよね。
そればかりか、2nd beatにもなぜこれがA面ではないのか、アルバムに収録されないのが不思議でしょうがない名曲もゴロゴロあります。
さらに、ミニ・アルバムも名作ばかりなので、オリジナル・アルバムのみでその魅力を語ったり推し量ったりするのは、少々無理があります。
好きなシングル曲が収録されているアルバムから聴き始めようとしたら、その曲はアルバム未収録だった、そんな事例はザラですからね。
例えば、"裸足の女神"。
トヨタのレビンのCM曲にタイアップされた、めちゃくちゃホットな"裸足の女神"がアルバム未収録とか、他のバンドでそんなことってある?
レコード会社のお偉いさんに怒られるでしょ、普通。アルバムにシングルを収録しないとか。ミリオン・ヒット・ナンバーですよ。アルバムの核や売りとなって然るべき曲でしょう。
ベスト・アルバムを出しすぎだという批判の声もありますけど、私は支持しますよ。アルバムに収録されなかった曲を、一部ではありますが、まとめて聴けるのはやはり便利です。
この30周年を機に、今までちゃんと聴いたことなかったけど、B'zを聴いてみようと思い立った。そんな人におすすめなのは、20周年ベストと20周年ライブですね。
これでハマったら、自分が気に入った曲が収録されているアルバムや、そのツアーのビデオなどからさかのぼっていくのが、一番かと。
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